内耳疾患治療に向けた低侵襲メッセンジャーRNA(mRNA)送達技術を開発 ―ジェット噴射型デバイスによる鼓室内投与の有用性を実証―A Needle-Free Jet Injection System for Safe and Effective Intratympanic Delivery
位髙啓史教授らの研究成果が公開されました。
概要
大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)臨床生命工学チーム(東京科学大学核酸・ペプチド創薬治療研究センター兼任)の位髙啓史教授、寺井湧貴さん(博士課程)、東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の鴨頭輝助教、佐原利人医師(医学系研究科医学博士課程)、東京逓信病院の山岨達也病院長(東京大学名誉教授 )、株式会社ダイセルの長谷川崇志研究員、団野篤史研究員らによる研究グループは、新しい創薬モダリティとして注目を集めるmRNA医薬を用いた内耳疾患治療薬のアプローチとして、針を使用しないジェット噴射型デバイスにより、鼓膜を介して薬剤を鼓室内へ低侵襲に投与する新たな方法を開発しました。
研究のポイント
- 針を使わないジェット噴射型デバイスにより、鼓膜を介して薬剤を鼓室内へ低侵襲に投与する新たな方法を開発
- 従来の注射針による投与と同等の薬剤送達効果を維持しながら、鼓膜の損傷を小さく抑え、より早く治癒することを確認
- 投与後も聴覚機能がほぼ維持され、繰り返し投与にも適した低侵襲な投与法となる可能性を示した
- 将来、難聴などの内耳疾患を対象とするメッセンジャーRNA(mRNA)※1医薬の新たな送達技術への応用に期待
Title
A Needle-Free Jet Injection System for Safe and Effective Intratympanic Delivery
Author
Yuki Terai, Toshihito Sahara, Takashi Hasegawa, Atsushi Danno, Teru Kamogashira, Tatsuya Yamasoba, Keiji Itaka
Journal
Published online in Otology & Neurotology, on August 31, 2026
DOI
10.1097/MAO.0000000000005051

位髙 啓史教授のコメント
難聴に対するmRNA創薬を検討する過程で、内耳への薬物投与の難しさを痛感していたところ、医学系研究科健康発達医学の中神啓徳教授から、低侵襲での薬物投与が可能な本デバイスを紹介いただき、本研究成果に至ったものです。mRNAに限らず、多くの薬物投与に応用可能で、広く活用されることを願っています。
CiDERでは、感染症研究を基盤として、そこで培われた技術や知見を、さまざまな疾患領域や社会課題へ展開する研究も推進しています。今後も最先端の研究をもとに総合知を創出し、「いのち」と「くらし」を守る持続可能な未来社会の実現に取り組んでまいります。