Visionビジョン
感染症の脅威から
「いのちと暮らし」を
守るための
総合知を形成する
Missionミッション
感染症総合知のハブとなる
大阪大学は、個々人が社会で活躍できる寿命(社会寿命)を延伸させ、個々人の多様性を生かすことによって、豊かで幸福な人生をすべての人が享受できる社会の実現を目指しています。新型コロナウイルス感染症「COVID-19」の流行により、テレビやインターネットに氾濫する真偽不明の情報、軽視されていた感染症の基礎研究、感染症の流行に弱い医療体制など、日本が抱える課題が浮き彫りになりました。これらを教訓に、今回の国難を乗り越え、次なる感染症の流行に備えるため、大阪大学は、大学の知や人材が結集する「感染症総合教育研究拠点 (Center for Infectious Disease Education and Research (CiDER)) 」を2021年4月に設置しました。
本拠点では、学内外、国内外の機関や産業界と連携し、感染症の脅威から人々の「いのち」と「暮らし」を守ることを目指し、
①科学的エビデンスに基づく総合的な情報発信、②予防、診断、治療法等の総合的な研究、③医療従事者の皆様への感染症対策に関する最新技術・知識の教育訓練、感染症対策リーダーの育成に取り組みます。
本拠点では、研究型総合大学だからこその利点を活かし、人類共通の課題である感染症の制圧に貢献してまいります。
Messageご挨拶

西尾 章治郎Shojiro Nishio
研究者間の活発な交流を促進し、
革新的な共創を生み出す場を
大阪大学感染症総合教育研究拠点(Center for Infectious Disease Education and Research, CiDER)は、2021年4月の設置以来、「感染症の脅威から『いのちと暮らし』を守るための総合知を形成する」というビジョンを掲げてまいりました。
この理念のもと、感染症に関する基礎研究の推進、その成果を社会に定着させるために、医療従事者への教育活動の充実と科学的根拠に基づく正確な情報発信など、感染症の脅威に立ち向かい、持続性のある未来社会の構築に向けて、全力で活動を展開しております。そして、この拠点が中心となって、大阪大学の力を結集し、社会のさまざまな分野の方々の協力を仰ぎながら、国際的な視野で将来起こりうる新たな感染症の脅威に対する備えにも繋がる教育研究に鋭意取り組んでおります。
2023年5月から新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが5類へと移行しましたが、感染症との戦いはいまだ終わってはおりません。鳥インフルエンザの人への感染リスクの高まり、麻疹やデング熱などの輸入感染症の拡大、さらには薬剤耐性菌の脅威など、私たちが取り組むべき課題は多岐にわたっております。これらの問題は、メディアでも頻繁に取り上げられるようになり、公衆衛生を脅かす重要な課題として、広く社会に認識されるようになりました。この状況は、まさにCiDERの使命がますます重要性を増していることの表れだと考えております。
このような状況を踏まえ、大阪大学は感染症研究のさらなる発展と社会への貢献を目指し、新たな一歩を踏み出しました。その中心となるのが、このたび整備する新たな教育研究棟「大阪大学・日本財団 感染症センター」です。本センターは、多様な専門家が一堂に会する拠点として、異分野の研究者間の活発な交流を促進し、革新的な共創を生み出す場となるものと確信しております。
この新棟を核として、CiDERでは、今後も国内外で起こり得る事態を見据え、「感染症総合知のハブ」としての役割を果たすべく、さまざまな活動に真摯に取り組んでまいります。

山﨑 晶Sho Yamasaki
人々の「いのちと暮らし」を守り
社会・経済活動の維持に貢献
2024年4月1日より、松浦 善治CiDER初代拠点長から重責を引き継ぎ、拠点長として着任いたしました山﨑 晶でございます。
大阪大学の感染症研究の歴史は、古くは1849年に適塾設立者の緒方洪庵が種痘所を開設したことに始まります。1934年には微生物病研究所及び財団法人阪大微生物病研究会(現BIKEN財団)が発足し、さらに近年では、2007年に免疫学フロンティア研究センターが始動しました。またその間、医学系研究科及び医学部附属病院をはじめ大阪大学の様々な分野の研究者が連携して、感染症研究及び免疫研究の多くの知見を蓄積してきました。このように大阪大学はこれまで我が国のみならず世界の感染症研究の発展に貢献してきましたが、2019年に発生した新型コロナウイルスのパンデミックにより浮かび上がった様々な新しい課題を克服し、新興・再興感染症の克服を目指すため設立されたのがCiDERです。CiDERは、国内外の感染症研究と人材育成をリードする総合教育研究拠点として、感染症の脅威から人々の「いのちと暮らし」を守るという使命を果たすこと、世界に開かれた感染症総合知のハブとして機能することを目指し、2021年4月に設置されました。
新型コロナウイルスのパンデミックは徐々に落ち着き、私たちの生活はコロナ禍前に戻りつつありますが、人類の脅威となる新興・再興感染症は次にまたいつ起こるかわかりません。今回のパンデミックでは感染症に対する平時からの備えがもっとも重要であることがあらためて認識されました。
今後もCiDERでは、学内外の関係機関と密に連携をとりながら、感染症学・免疫学・感染制御にかかる研究を強力に推進するとともに、人材の育成や社会への情報発信を通して、次に起こりうるパンデミックから人々の「いのちと暮らし」を守り、社会・経済活動の維持に貢献することを目指します。