「令和5年度文部科学大臣表彰(科学技術賞 科学技術振興部門)」を受賞しました
村上 道夫特任教授が参画する、「MAss gathering Risk COntrol and Communication(MARCO)」(代表:東京大学医科学研究所 附属ヒトゲノム解析センター 井元 清哉教授)が、「COVID-19 禍における大規模集会の開催に関する貢献」において、令和5年度文部科学大臣表彰(科学技術賞 科学技術振興部門)を受賞しました。
文部科学省では、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者を「科学技術分野の文部科学大臣表彰」として顕彰しています。
MARCOは、コロナ禍での大規模イベントの感染リスクの低減や、開催のあり方を科学的に検討することを目的に、多様な専門分野の研究者が集まり2020年4月から活動している有志研究チームです。
評価された業績
解決志向リスク学によって各種対策の効果を定量的に評価し、科学と技術に裏打ちされた大規模集会のデザインを社会に実装。特に、東京2020オリンピック・パラリンピックや日本野球機構、日本プロサッカーリーグなどのプロスポーツでの感染リスク対策評価、対策順守率の調査と観客へのフィードバック、選手・スタッフらへの効果的な検査体制の構築、マスク効果の見える化と情報発信やマスク開発を進めた点などが評価されました。
受賞メンバー
- 井元 清哉 東京大学医科学研究所 附属ヒトゲノム解析センター 健康医療インテリジェンス分野 教授
- 村上 道夫 大阪大学感染症総合教育研究拠点 特任教授(常勤)
- 保髙 徹生 産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門 研究グループ長
- 奥田 知明 慶應義塾大学 理工学部 教授
- 藤井 健吉 花王(株)研究開発部門 研究主幹
主要論文
- 「COVID-19 risk assessment at the opening ceremony of the Tokyo 2020 Olympic Games」Microbial Risk Analysis, vol.19, 100162, 2021 年発表
- 「COVID-19 testing systems and their effectiveness in small, semi-isolated groups for sports events」PLoS ONE, vol.17(3), e0266197, 2022 年発表

村上 道夫特任教授のコメント
コロナの流行によって東京オリパラが延期されたことを知り、感染リスク評価と管理を行う研究を進めよう、と仲間に声をかけたのが2020年4月でした。以降、どのくらい危ないのかではなく、どのようにすれば解決できるのか、といった視点から研究を進めてきました。オリパラが終了してから談合や汚職など残念極まりないニュースが聞こえてきましたが、少なくとも私たちが進めてきた研究の知見に耳を傾けてくれ、感染リスク対策に注力する現場の方々の真摯さにはとても感銘を受けたのを覚えています。今回の受賞は、分野や立場を超えて熱意と責任をもって一丸となったことへの評価のように感じ、うれしく思っています。