ヒト胚中心B細胞を培養皿の中で作製 ―ワクチン・自己免疫疾患研究の新たなツール―In vitro induction of human germinal center B cells
James Wing教授らの研究成果が公開されました。
概要
大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)のDavid Priest特任助教(常勤)、James Wing教授らの研究グループは、ヒトの血液由来のB細胞から、培養皿の中でin vitro胚中心B細胞(iGCB細胞)を作製する方法を開発しました。
研究成果のポイント
- ヘルパーT細胞から供給される3つのシグナル(CD40L、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-21(IL-21))のみを用いて、ヒト血液中のナイーブB細胞からin vitro胚中心様B細胞(iGCB細胞)を作製する簡便な培養法を開発
- ヒト胚中心B細胞(GCB細胞)は、扁桃やリンパ節などのリンパ組織内にほぼ限局して存在するため、取得や実験的な操作が極めて困難だった
- 今回、鍵となるシグナルを適切な順序で与えることで作製が可能になり、その順序とタイミングが重要であることを解明
- iGCB細胞は、体細胞高頻度変異をはじめとするヒト胚中心B細胞の主要な特徴を再現しており、胚中心の形成を促進・阻害する因子の検証が可能となり、より優れたワクチンの開発や自己免疫疾患の治療法開発につながることが期待される
Title
In vitro induction of human germinal center B cells
Author
David G. Priest, Melike Fusun Demir, Wataru Ise and James B. Wing
Journal
Published online in Science Immunology, on September 18, 2026 (U.S. ET)
DOI
https://doi.org/10.1126/sciimmunol.aeg5223

James Wing教授のコメント
胚中心は、免疫系が抗体を精密に調整する場です。マウスではこれほど詳しく研究できる一方、ヒトではほとんど研究することができない状況を、これまでもどかしく感じてきました。
今回、最も驚いたのは、必要なシグナルがわずか3つだったことです。これらを適切な順序で与えるだけで、ヒトB細胞が自ら胚中心のプログラムを作り上げました。この研究が、ヒトの胚中心B細胞の形成をどのようなシグナルが制御しているのかを調べるための、シンプルな研究手法となればと思います。そして、より優れたワクチンの開発や、自己免疫疾患の治療に役立つことを願っています。