世界8カ国調査で明らかになったワクチン接種メッセージの「光と影」―ワクチンの接種理由が接種意図を高める一方で、意見の対立を生む―Impact of vaccination justifications on compliance and social polarization: A repeated cross-sectional study in eight countries
小林智之連携研究員、村上道夫教授、三浦麻子教授の研究成果が公開されました。
研究のポイント
- 世界8カ国(日本、英国、米国、中国、韓国、ドイツ、イタリア、南アフリカ)の18〜74歳の計13,097名を対象に、2023年7月〜2024年4月に4回のオンライン調査を実施し、将来のCOVID-19ワクチン接種の意図や、パンデミック下での政府などのワクチン接種の推奨に対する賛成派と慎重派がお互いをどう感じているかを比較しました。
- 「他人にうつさないため」「自分を守るため」「社会全体のため」「多くの人が接種しているから」といった接種理由に強く賛同する人ほど、将来も接種しようとする意図やワクチン推奨への賛成の程度が高い一方で、ワクチンに慎重な人への嫌悪感も強く、賛成派と慎重派の分断が深まりやすいことがわかりました。一方で、「接種しないと罰則がある」という理由は、将来の接種意図を高める効果はほとんどない一方で、賛成派と慎重派のあいだの感情的な対立をやや和らげる可能性が示されました。
- 本研究は、感染症対策をめぐるメッセージが、人々の協力を促すと同時に社会の分断も生みうるという「光と影」を、世界8カ国の比較から具体的に示した点に特徴があります。
Title
Impact of vaccination justifications on compliance and social polarization: A repeated cross-sectional study in eight countries
Authors
Tomoyuki Kobayashi, Michio Murakami, Asako Miura
Journal
Published online in Vaccine: X, Volume 28, on December 12, 2025