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研究成果

2024.4.3

 PRESS RELEASE 

今後、感染症などの健康影響への適用にも期待!“発がん性化学物質”と“心理的苦痛”のリスクを「損失幸福余命」で評価―質の異なるリスクの比較が可能に―【村上道夫教授らの研究グループ,Environ. Res.に発表】



大阪大学感染症総合教育研究拠点の村上 道夫教授と慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室の野村 周平特任准教授((兼)東京大学大学院医学系研究科特任助教、(兼)東京財団政策研究所主席研究員(論文発表時))らの研究グループは、「損失幸福余命」という尺度を用いて、日本の環境中発がん性化学物質と心理的苦痛のリスクの大きさを比較しました。

【 詳細はこちら(PDF) 】


<掲載論文>

本研究成果は、オランダ科学誌「Environmental Research」に、2024年3月8日(金)に公開されました。

タイトル:Comparing the risks of environmental carcinogenic chemicals in Japan using the loss of happy life expectancy indicator”
著者名:村上道夫(大阪大学感染症総合教育研究拠点)、小野恭子(産業技術総合研究所安全科学研究部門)、竹林由武(福島県立医科大学医学部)、坪倉 正治(福島県立医科大学医学部)、野村周平(慶應義塾大学医学部、(兼)東京大学大学院医学系研究科、(兼)東京財団政策研究所)

DOI:https://doi.org/10.1016/j.envres.2024.118637


本研究は、科学研究費助成事業(JP20H04354)と日本財団・大阪大学 感染症対策プロジェクトの一環として行われました。


村上道夫教授のコメント
幸福余命と損失幸福余命の概念は、福島第一原子力発電所事故後に、復興のあり方を様々な人と議論していく中で、余命を延ばすことと幸福な社会を築くことが重要だと考えて、構築したものです。本研究では、災害時ではなく、平時におけるリスクの大きさについて、環境分野と医学分野の事例を対象に適用したことになります。この概念自体は、発がん性化学物質に限らず、感染症などの健康影響やそれ以外の社会的な影響についても適用できるものです。もちろん、リスクの大きさ、対策による低減効果、あるいは、その費用対効果を比べるだけで、取り組むべき課題や政策が決まるというような単純なことではありません。それでも、目指すべき社会像を考えて、多様なリスク事象の大きさを比べることが、私たちの社会がどのような政策や対策をとっていくべきかという判断の俎上に載せるうえで欠かせないと考えています。

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