肺がんにおけるCKAP4を標的としたバイオマーカーと治療薬の開発CKAP4 is a potential exosomal biomarker and a therapeutic target for lung cancer
大阪大学感染症総合教育研究拠点の菊池 章特任教授(常勤)、同医学系研究科の佐田 遼太助教、名越 章裕大学院生らの研究グループは、DKK1-CKAP4シグナル経路が活性化されている肺腺がん(肺がん)において、CKAP4が診断と治療の標的になることを明らかにしました。我が国では、肺がんによる死亡者数は年々増加し2020年には75000人を超え、1998年に胃がんを抜いて以降、全てのがんの中で死亡者数は第一位となっています。また全世界でも2020年の肺がん死亡者数は180万人と、すべてのがんで最も多く、予後不良な悪性疾患です。2000年代以降、各ドライバー遺伝子に対する分子標的療法や免疫チェックポイント阻害剤が開発されていますが、それらに不応の症例や治療後に再発をきたす症例もあり死亡率の改善は限定的であることから、新たな分子標的治療薬の開発が求められています。
今回、菊池特任教授らは、自身が発見した新規のがんシグナルであるDKK1-CKAP4経路の肺がんにおける活性化の意義として、患者血清中のCKAP4が本シグナル経路活性化のバイオマーカーになることを明らかにしました。また、抗CKAP4抗体をEGF受容体変異を持つ肺がんの一次治療薬であるオシメルチニブと併用することにより、抗腫瘍効果が増強されることを見出し、新たな治療法の開発につながる可能性を示しました。
本研究成果は、Translational Lung Cancer Researchに2023年3月17日に公開されました。
Title
CKAP4 is a potential exosomal biomarker and a therapeutic target for lung cancer
Authors
Akihiro Nagoya, Ryota Sada, Hirokazu Kimura, Hideki Yamamoto, Koichi Morishita, Eiji Miyoshi, Eiichi Morii, Yasushi Shintani, and Akira Kikuchi