阪大発
感染症情報サイト

大阪大学

【CiDERシンポジウム】参加者からの質問
〈国内外の感染状況の変化編〉

質問)コロナウイルス感染症の流行後2年半、感染状況や死亡率、重症化率、致死率について、どのように変化してきたのでしょうか?日本と海外の違いはどのようなものでしょうか?

【感染症専門医】
忽那 賢志

 

第74回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料

 

大阪府資料より

 

日本では第一波から現在まで、だんだんと重症化率も致死率も下がってきています。

要因としては、ワクチン接種率が増加したことと、治療薬が使えるようになったこと、あとはウイルスの病原性の変化などがあります。海外でも、その時に流行している変異株の違いや人種の違いなどはありますが、基本的には概ね下がってきています。しかし、今問題になっていることは、感染者の規模がだんだんと大きくなってくることで、入院患者が増え、それにより医療のひっ迫が起こったり、亡くなる人の数が増えていることです。

 

【免疫学】
伊勢 渉

 

 

日本と海外では、感染者(1日あたり)の推移は似ていますが、死亡者数(1日あたり)の推移には違いがあります。

感染者数の増減は、国によって違いがありますが、概ね傾向としては似ているのではないかと思います。日本では徐々に感染者が増えています。アメリカ、スペインは最近の感染者数がきちんと測定できているか不明ですが正確な数字はもしかしたら日本と同じように増えているかもしれません。

しかし、今の日本は分母となる感染者数が感染初期のころに比べると桁違いに増えていますので、死者数も今が最大となっています。

 

 

【自然科学】
池田 陽一

 

感染流行の拡大・収束のパターンは世界各国でほぼ同じですが、そのスピードや重症化率には人種による差がありました。

(1) デルタ株まで

日本は、欧米に比べて感染のリンクが切れやすい状態にありました。結果として、累計感染者数は桁違いに異なりました。

 

https://www.mdpi.com/1660-4601/19/11/6864

 

(2) オミクロン株から

行政の施策の違いに関係せず、世界中で人口あたりの感染規模や、感染拡大から収束までの期間がほぼ同じです。

世界的にもオミクロン株による重症化率は低いです。