阪大発
感染症情報サイト

大阪大学

【大阪大学・CiDERシンポジウム】
参加者からの質問
〈ワクチン接種における免疫応答や副反応について〉

質問1)ワクチンを打つことで作られる抗体と実際に罹った際の抗体の違いは?罹患した後でもワクチンを打つべきでしょうか?

【感染症専門医】
忽那 賢志

 

感染した時にできる抗体の量は、人によってバラつきがあり、重症者のほうが軽症者に比べて中和抗体が多くできると言われています。一方でワクチン接種をした人ではバラつきが少なく、十分な免疫が作られるとされます。
罹患した後、ワクチンを接種せずにいると再感染する可能性が高くなるので、3ケ月から6ケ月経過した時点でワクチンを接種することで、重症化を防ぐことができると思います。

 

 

質問2)新型コロナウイルスのワクチンの接種間隔は今のところ短いですが、今後一度で永久免疫がつくようなワクチンや、インフルエンザのように一年に一度のワクチンが開発される見通しはあるのでしょうか?

【免疫学】
宮坂 昌之

 

感染を予防するためであれば接種間隔は、数ケ月に一回、長くとも一年に一回は接種しなければいけませんが、重症化を予防するためであれば恐らくもっと間隔をあけてもよいと思います。しかし、新型コロナウイルス感染症では、神経系などの後遺症が一定の割合で見られます。重症化率だけでなく後遺症も重要な要素であると考えますので、しばらくの間は定期的にワクチン接種が必要と思います。
今後、ウイルスが変異しても共通する領域に対するワクチンが開発されれば、変異するごとに接種しなくてもよくなる可能性があります。

 

 

質問3)新型コロナウイルス感染症の重症化率が低下し、変異し続けていますが、発熱などの副反応を経験してでも何度もワクチンを打たなければならないのは、なぜでしょうか?いつまで続くのでしょうか?

川崎市健康安全研究所
岡部 信彦

 

感染しても症状が軽い人が増えているので、ワクチン接種による発熱が嫌と思われる方も多いと思いますが、一定の割合で予期せず重症化する方がいるため、私は副反応が出ても少し我慢してくださいとお伝えしています。「今のウイルス」で「今のワクチン」だったら何回か接種をしなければなりませんが、ウイルスは変異しますし、発熱等の副反応を軽減したワクチンの改良を研究者や製薬会社が進めています。

 

 

免疫学
伊勢 渉

 

副反応の問題はありますが、現時点ではそれ以上にワクチンが個人・社会にもたらすベネフィットのほうが大きいと思います。今後もウイルスは変異を続け、この世の中からなくなることはありませんが、ゆるやかに落ち着いてくる(=コロナ禍の“収束”)と思います。

 

質問4)新型コロナウイルスワクチンの副反応で困っている人もいます。今後、ワクチンとどう向き合っていったらよいのでしょうか?

【感染症専門医】
忽那 賢志

 

新型コロナウイルスワクチンでは、人によっては発熱がつらいということもあると思います。医師が副反応に関する正確な情報を具体的に説明し、その上で接種を検討していただければと思います。また、若い健康な方と重症化リスクがある高齢の方ではワクチン接種の重みが違うので、一人一人が接種することのメリットとデメリットとを天秤にかけて考えて頂ければと思います。

 

 

【行動経済学】
大竹 文雄

 

ワクチンの種類にもよると思います。風疹ではワクチンの効果が長く続くため、個人のためだけではなく社会のためということがかなり大きく、全員が接種をするということが大切になってきます。一方、新型コロナウイルスワクチンは、現在のオミクロン株では感染予防効果よりも重症化予防が中心とすると、重症化予防効果と副反応の程度を天秤にかけて判断していくことになると思います。

 


【 2月17日までYoutubeでアーカイブ配信 】大阪大学・CiDERシンポジウム「私たちのくらしとワクチン」